感謝祭の後のシアトルの街が好きだったわ。いちばん好きだったのは、ベルビュースクエアかしら... クリスマスライトに飾られたウインドウを眺めているのが楽しかった。 ダンスパーティに着てゆくドレスを見つけられなくて、少し冷めかけたピザパイを持て余していたのよ。 ユーナスは、スウェーデンからのエクスチェンジスチューデントだった。 アメリカの食べ物はあじけないとか言いながら、何枚もピザをおかわりしていた。 秀才のユーナスには、学校の課題で世話になりっぱなしだったし、センスのいい彼に ドレスをみたててもらおうと思って、ショッピングセンターに来ていたの。
気に入るドレスは見つかりそうもないし、ピザソースを口のまわりにつけたままにしている彼を見ているのもうんざりしてきた。
ユーナスは、雪のような白い肌を赤く染めて、バスに飛び乗ると大声で私をよんだわ。早く皆をバスに乗せてと言うから、私は何だかわからないけど皆の腕をとって頭の上の荷物といっしょに乗せたわ。子どもの手は信じられないくらい細かったし、女性達も痩せていて軽かったわ。ユーナスは、子どもの手のひらにキャンディをのせて、ピエロみたいにはしゃいでいたわ。
帰りの車の中で、ユーナスは無口だったけど、やがてこうささやいたの。
去年のクリスマスカードには、写真が添えられていたわ。口ひげをはやして、立派な中年男になったユーナスは、やっぱりピエロみたいに笑っていたの。
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川村法子(2001.2.14)
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